究極のビジネス
くう先生「前回では、通貨の取引は究極のビジネスであるということについて触れたが、それを少し説明しようかの」
むさし「いすに座ったまま、好きな時間にできるからじゃないの?」
くう先生「それもあるが、普通の商売の場合、物を仕入れて付加価値をつけて売るんじゃったの。牛丼店なら、牛肉とたまねぎを仕入れて、おいしい味付けという付加価値をつけて売るんだし、バーならお酒を仕入れて会話という付加価値を、美容室ならシャンプーなどの薬品を仕入れてかっこよさという付加価値を、コンサルタントなら知識を仕入れてわかりやすくするという付加価値をつけるんじゃったの」
むさし「おいら、たまねぎは食べられないんだ・・・」
くう先生「それでよく牛丼を・・・市役所や消防署などの公共サービスは商売ではないから、税金からサービスの付加価値をつけるのじゃが、普通の商売は、なにか材料を仕入れないといかんじゃろ?その材料は在庫管理が発生して・・・例えば古い牛肉の牛丼は食べたくないじゃろ?」
むさし「熟成肉っておいしいよ」
くう先生「そうか・・わしは食べ物にはあまり興味がなくての。でも消費期限が過ぎた食べ物を出せばお客様が危険な目にあうじゃろう?まぁお酒や薬品は消費期限が長いが、それでも倉庫や冷蔵庫が必要になるの。知識の場合は仕入れた情報が古くなることもあるし、仕入れ金額で見合うだけの情報加工ができるかが問題じゃの」
むさし「通貨の取引の場合は?」
くう先生「通貨の取引の場合は、通貨そのものを仕入れて、時間という付加価値をつけるんじゃ」
むさし「時間?」
くう先生「これは少しわかりづらいが、例えば、骨董品や美術品は長く持ってるだけで価値がでるじゃろ?持っているだけで時間という価値が発生するのじゃ」
むさし「なるほど、自分が努力しなくても時間がたてば価値がでるんだね」
くう先生「うむ。宝石の場合はカットデザインが古くなって逆に価値が下がる場合もあるがの。通貨の場合も時間がたてば価値が下がる場合もある」
むさし「どうして?」
くう先生「外国為替の場合、例えば USD/JPY(ドル/円) の場合、円を支払って(売って)、ドルを仕入れる(買う)わけじゃが、2国間の力関係やさまざまな要因によって、どちらかの価値が上がって、反対側が下がったりするのじゃ」
むさし「じゃ、せっかくドルを仕入れても損をすることもあるんだね」
くう先生「そうじゃ!ただし、まったく反対の取引ができるので、ドルを支払って(売って)円を仕入れる(買う)ことも、まったく同じ労力でできるのじゃ」
むさし「でもおいら、ドルなんて持ってないよ」
くう先生「もってなくても売ることができるのじゃ!それも錬金術といわれる所以なのじゃが、詳しくは省略するが、ドルが上がりそうじゃったらドルを買い、ドルが下がりそうじゃったらドルを売ればいいのじゃ。その労力や手数料などの経費はまったく同じなのじゃ」
むさし「それはすごいね!他にはどんないい点があるの?」
くう先生「普通の商売はお店や商品の宣伝をしてお客様を集めないといけなかったの」
むさし「そうだよ!だから広告代理店に頼んでテレビコマーシャルを打ってもらったり、ネットでアフリエイトしたりするよ!」
くう先生「おまえさん、急に詳しいの(笑)」
むさし「集客はビジネスで一番重要だからね!」
くう先生「ところが、通貨取引では、お店の宣伝をしたり、商品の宣伝をする必要がないのじゃ。取引相手は大量のトレーダーからコンピュータ上で一瞬に見つかるのじゃ。」
むさし「お客様(取引相手)が見つからないことはないの?」
くう先生「株の場合は、マイナーな銘柄だと相手が見つからなくて予想外の価格になったりすることがたまにあるが、外国為替の場合は、大量の相手がさまざまな思惑で取引してるから、相手が見つからないということはまず無いのじゃ!」
※Triennial Central Bank Survey(2007)によると世界の外国為替市場の1営業日あたりの平均取引高は2007年4月時点で、3兆2100億ドル、このうち東京市場では2380億ドル(日銀発表では2384億ドル)となっています
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